The Rocky Road to Dublin

こんにちは日本のみなさん。

すっかりブログの更新が遅くなってしまいました。

無事ダブリンに着いたのですが、毎日何かと

手続きがあって日中は潰れ、夜は時差ボケで早く寝てしまい、

タイミングを逃し続けていました(汗)

先が思いやられますが、毎週少なくとも一回(おそらく週末)は更新

することを目標に頑張りたいと思います!

 

「勉強のため英語でブログを書いて欲しいという」リクエスト

もあったのですが、日本語の備忘も兼ねて、ブログは日本語で

書こうと思います。その代わり、Twitter では 英語で ダブリンの

様子を Live でお伝えしようかと思うので、興味のある方は

https://twitter.com/OSONOSE をフォローして下さい。

 

 

さて、今は知人の紹介でとあるシェア・ハウスに

居候させてもらっているのですが、場所は

Ranelagh というダブリンの南側にあります。

郵便番号だと Dublin 4 にあたるのですが、

4番区は結構な高級住宅街にあたるそうで、

確かに上品で閑静な雰囲気をたたえています。

初めてダブリンに来た時は、スラム街も多い

北側のホステルに滞在し、その薄汚れた景観を見るにつけ、

「なるほど『愛らしい汚れたダブリン('Dear Dirty Dublin')』

とは良く言ったものだ」と一人で勝手に納得した次第なので、

最初はこぎれいなダブリンに違和感を感じてしまいました(笑)

 

 

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さて、ダブリンといえば世界に名だたる文豪を多く輩出した

文学の都として有名で、街のあちこちに文学関係の名所があります。

Ranelagh も例に漏れません。実は居候している家のすぐ目と鼻の先に、

筆者が研究している、ジェイムズ・ジョイス(1882-1941) が幼少期に

暮らした家があります。これも何かの縁でしょうか(笑)

 

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父ジョン・ジョイス(職業は徴税官)の酒癖の悪さと無計画さ(ジョイスは七人兄弟の長男)が祟って、ジョイス一家は没落の一途を辿り、住まいも北へ北へと移って行きます。英語で「没落する」ことを 'Going South' と云いますが、ダブリンの場合はさしずめ 'Going North' ですね(笑)

 

実は筆者の家の近所は、ジョイスの他にも有名な文豪と縁があります。

パトリック・カヴァナ(1904-67)というモナハン州出身の詩人なのですが、

家から少し歩いた所にある運河(Grand Canal)沿いの歩道に像があります。

 

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カヴァナというと、地元モナハン州で農夫として暮らした経験を元に綴った The Great Hunger (1942) という詩が有名ですが、実は 1939年に上京して以来はずっとダブリンで活動していた「都会派」詩人でもあります。カヴァナは晩年に肺癌にかかり、生死の狭間を彷徨うのですが、静養中は良く水路沿いを散歩していたようです。

 

その時のことを題材にした、'Canal Bank Walk' (1958) という詩があります。

ベンチの傍には記念のプラークがあるのですが、そこで 'Canal Bank Walk' の最初の数行が引用され、「愛に茂った土手と私の為に救済を注ぐ運河の緑の水よ」と刻まれています。九死に一生を得て、流れる川と川を囲む自然に生命の躍動を感じ、生きとし生けるもの全ての創造主たる神の偉大さを感じるカヴァナの心象が顕われているようです。原詩を載せるので、興味のある方は読んでみて下さい。

 

'Canal Bank Walk'

 

Leafy-with-love banks and the green waters of the canal
Pouring redemption for me, that I do
The will of God, wallow in the habitual, the banal,
Grow with nature again as before I grew.
The bright stick trapped, the breeze adding a third
Party to the couple kissing on an old seat,
And a bird gathering materials for the nest for the Word
Eloquently new and abandoned to its delirious beat.
O unworn world enrapture me, encapture me in a web
Of fabulous grass and eternal voices by a beech,
Feed the gaping need of my senses, give me ad lib
To pray unselfconsciously with overflowing speech
For this soul needs to be honoured with a new dress woven 
From green and blue things and arguments that cannot be proven.

それでは、また次回!