April is the cruellest month ...
お久しぶりです。ブログの更新が3月ぶりとなってしまいました。今年は毎月ブログを更新するという抱負を立てたので、4ヶ月足らずでそれが頓挫して残念極まりない感じですが、更新が滞ったのには生来の怠惰と無計画さ以外にも理由があります。
「四月はもっとも非情な月だ("April is the cruelest month") 」という書き出しで始まるのは T. S. Eliot の有名な「荒地("The Waste Land")」ですが、四月のスケジュールはなかなか過密を極め、週末にブログを更新する機会が取れませんでした(汗)。
なにがそんなに忙しかったかというと、 Experience Japan という日本文化の紹介を目的としたイベントの活動です。今年は準備委員会のメンバーとしてイベントの運営に関わり、四月を通して企画の準備に追われていました。2016年の Experience Japan は 1)落語の講演 2)花見フェスティバル 3)TED形式のセミナーの三つの企画からなり、どれもそれなりに成功を収めました。イベントの紹介も兼ねて、写真と共に企画を簡単に説明したいと思います。
1)落語の講演 4月9日
会場はダブリン城の裏にある Chester Beatty Library でした。この図書館はアジア・中東関係の蔵書で有名ですが、外には桜の木が咲いており、Experience Japan の皮切りとしては格好の舞台でした。
この日の噺家はアイルランドのコーク大学で教鞭をとるティル・ワインガートナーさん(UCC Research Profiles: Dr. Till Weingartner, Asian Studies)。ドイツ出身ですが、日本に留学し、イギリスの大学でも教えていたことがあり、独語・日本語・英語で落語が出来るとか(この日の落語はもちろん英語)。
恥ずかしながら落語を聞くのは生まれて初めての経験でしたが、なかなかウィットに富んでおり(この日やったのは落語の古典のひとつとされる 時そば - Wikipedia でした)、初心者でも十分楽しめました。休憩中には太鼓の演奏もあり、また違う日本の伝統芸能が堪能出来ました。
企画陣の打ち上げは、そばに絡めて(?)最近ダブリンに出来たラーメン・バーで。
話が脱線して恐縮ですが、わざわざ製麺機を日本から持ってきただけあって、味はなかなかちゃんとしてます(写真は "Tonkotsu Kuro")。美味しいラーメンがないのがダブリン唯一のネックでしたが、このバーが出来たことで問題解決しました(既に常連)!
2)4月17日 花見フェスティバル
落語の講演の翌週は、Experience Japan の目玉イベントとなる、「花見フェスティバル」。会場は、ダブリンを訪問した際に天皇陛下と皇后陛下が泊まったファームリィ(Farmleigh) ゲストハウスとその敷地。今年で開催7年目になりますが、来場者は二万人弱を数え、今年も大盛況に終わりました。
花見フェスティバルは、言ってみればダブリン流の「お祭り」で、コンセプトの根幹には日本ーアイルランドの文化交流があります。メインステージでも、和太鼓、ソーラン節、J-POP 等の演奏に入り乱れてハープやアイリッシュ・ダンスのパフォーマンスがあり、日愛の文化の混交を表していました。
この他にも、会場では盆栽・書道の展示、俳句の朗読、日本文化についてのセミナー、コスプレ(!)などのイベントがありましたが、自分の担当エリアはというと。。。
武道。武道とは全く無縁の自分が担当になるのも変な話ですが(笑)、武道家さんたちは皆気さくでいい方で、こちらのステージも盛り上がっていました。
Experience Japan は在アイルランド大使館とダブリン市議会の後援を受けており、フェスティバルの途中で日本のアイルランド大使とダブリン市長 (Lord Mayor of Dublin)による挨拶&鏡開きもありました(右は我らが準備委員会の委員長)。
花見フェスティバルはダブリンではそれなりに有名で、今年もアイルランドを代表する全国紙 Irish Times に( Lands of the Rising Sun – An Irishman’s Diary about Cork, Japan, and running before breakfast )取り上げられていましたが、フランスのネット・マガジンにもレビューが載り(Le printemps du Japon à Dublin - Épisode 1 : Experience Japan - LA REVUE Y)、国際的な認知度も上がっている(?)ようです。
3)4月23日 TED形式 セミナー "T.ej"
Experience Japan 最後の企画は、TED 形式のセミナーである "T.ej" (TED + Experience Japan)。会場は筆者が留学している大学の法学部の講堂でした。
セミナーのテーマは、テクノロジー、ビジネス、教育、文化と幅広く、講演者のバックグラウンドも現役外交官、料理研究家、IBM 研究所職員、武道家、交換留学生と多様でした。
かくいう自分も、「シェイクスピアと福島」(今年がそれぞれ生誕400周年・5周年にあたる)というテーマのセッションの司会を担当し、少しセミナーに貢献しました。
最後には参加者一同が集まって記念写真。
"T.ej" の終了を持って幕引きとなった Experience Japan ですが、この一ヶ月は「日本人」という意識を強く持って日本文化に触れるいい機会でした。日本から遠く離れたアイルランドでもこれだけの人が日本文化に興味を持ってくれることは素晴らしいことですし、ささやかながらも日本人として日愛交流に貢献できるのは嬉しいので、また機会があれば是非とも Experience Japan に参加したいと思います!
BGM
春らしく、アリス=紗良・オットさんによるグリーグの『蝶々』をどうぞ!